1週間ほど短い休暇を取って、ドイツへ行ってきました。

ミュンヘンでちょっぴりひとり旅の後、フランクフルトに住む旧友Kと合流、シュツットガルト経由でフランクフルト入りしてKのお宅でお世話になる予定でした。ところが、到着した翌日に段差に気づかずに足首を捻挫してしまいました。Kと予定していた小旅行はキャンセル、Kがホテルまで迎えに来てくれてフランクフルトへ直行という大変更がありましたが、それにも拘らず楽しい旅でもありました。

それでは、どたばた旅を時系列で。

バンクーバーからはロンドン経由でミュンヘンに入りました。天気予報通り、雨のヒースロー空港。ロンドンからミュンヘンまで2時間半、ルフトハンザで飛びました。

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昔はどんな小さな街にも必ず1軒はあるのが中華料理店だったそうですが、それが今はSushi Bar。ヒースロー空港には回転ずしがありました。

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結構繁盛している様子でしたが、回っているお鮨はなんちゃって感満載なので、話のタネにテイクアウトを買ってみました。予想通りでしたが、お鮨ではなく、これはSushiなんだと思えば納得。特にまずい訳でも、魚の鮮度が悪いわけでもないので。魚の切り方が~とか、酢飯が~とか、やかましいことを言わなければ普通に食べられます。

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ミュンヘンには夜7時半到着。入国手続きや荷物の引き取りなどを済ませると8時をまわっていました。

ミュンヘン空港は市街地から離れていて、タクシーを使うと100カナダドル近くかかりそうなので、鉄道の中央駅行のS-バーンという電車を使うことにしました。

S-バーンの駅は空港から一旦外に出て、地下から乗車します。エレベーターが見当たらなかったので、大きな荷物を抱えてエスカレーターで降りました。

切符は自動販売機で買いますが、国旗で言語が選べるようになっています。現金とクレジットカードが使えますが、何故かクレジットカードはエラーが出てしまったので現金で買いました。50や100ユーロの高額紙幣は使えませんが、それ以外だったら、紙幣とコインのおつりがきちんと出てきます。宿泊したホテルは、中央駅の手前下車で、11.50ユーロ(18.50カナダドル位)だったと思います。下車駅までの所要時間は40分弱でした。

到着時間が遅いので、S-バーンの駅からエスカレーターで直結しているホテルを選びましたが、何と改装中につきエスカレーターは動いていませんでした。とほほ気分で階段で荷物を運びましたが、無事チェックイン。

ホテルに到着したら10時近くになっていましたが、人がたくさん歩いていて、まだ営業中のレストランもありそう。外出したい気持ちを抑えて、その日はおとなしくルームサービスで夕食を済ませました。カナダではほとんどのレストランが9時に閉店してしまうので、本当は外で食事したかったのですが。

鶏の胸肉を添えのシーザースサラダを注文、かなりのボリュームでした。でも味付けがあっさりとしていたので、完食です。それにしてもパンがとてもおいしかったので、旅の食生活への期待が高まりました。

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と、いうことで第一夜は無事に明けましたが、翌日に捻挫してしまいました。

ぼんやりと考え事をしながら歩いていたため、段差に気がつかず、普通なら膝かっくん程度で済むはずが、何故か右足首を内側に織り込むような体勢で、体重を支え切れずスローモーションで尻もちをついてしまいました。その時は大して痛みもなく、4~5時間呑気に歩き回っていたのですが、ホテルの手前、あと2ブロックあたりから痛みが始まり、ホテルに到着するころには右足に体重をかけることもできず、ふらふらと部屋に戻りました。

これから書くことは楽しいことではないので、旅先で万一マイナーな怪我をした場合の参考にでもしていただければと思います。

わたしはスポーツはからきしダメなこともあって、今まで怪我らしい怪我をしたことがなかったので、かなり混乱気味でしたが、どうも捻挫らしいと思い、ネットで応急措置を調べてみましたが、足首を固定して3日ほど安静にするのが良いようでした。

そうこうしているうちに、痛みが強くなってきて、膝から下指先までが腫れあがってきました。お見苦しいのですが、下の写真は病院から戻ってきた直後のもので、まだ足指やふくらはぎが腫れています。

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夜の10時近くになっていましたが、病院に行かなければまずいなと思い、先ずは保険会社に問い合わせをすることにしました。職場のグループ保険は、休暇中の海外での医療もカバーされているので、必要な書類やカバーの上限を教えてもらいました。電話は24時間年中無休、コレクト・コールで受け付けてもらえるのがありがたかったです。

病院は特に指定がある訳ではなかったので、ホテルの人に救急病院に行きたいこと、歩くのが不自由なので補助してくれる人が必要なことを伝えると、タクシーを手配したら係を送るので支度をして待っていてくださいとのことでした。

ほどなく車いすを持って係の人が迎えに来てくれました。ロビーでは病院の場所が記されたコピーと帰りに困らないようにホテルの名刺を渡してくれ、無事病院に到着しました。

到着してタクシーの運転手さん共々愕然としてしまったのですが、車を停められる場所から救急の入り口までかなりの距離がありました。実際はさほどでもないのですが、その時の足の状態で独りで行くなら匍匐前進だろうなと本気で考えた距離です。でも、運転手さんが、ちょっと見てくると言って病院の中に入って、車いすを借りて戻ってきてくれました。

結局、受付まで運転手さんが車いすを押して連れて行ってくれました。若いトルコ移民2世で、ドイツ語、トルコ語と英語、3か国語を話す親切な方でした。

病院では、まず受付で書類に記入してクレジットカードで350ユーロ支払いました。カナダでも居住している州以外で医療を受ける場合は健康保険の対象外になるので、似たようなシステムではないかと思います。

幸い先に待っているのは2組ほどで、すぐに診てもらうことができました。念のためレントゲンを撮られましたが、骨には異常なし。靭帯が切れているかどうかはMRIで調べるそうですが、それもおそらく大丈夫なので、心配だったらカナダに帰ってから受診するようにということでした。

そして、足首を固定するサポーターをつけてもらい、杖1組と24時間おきに自分でする注射(!)5日分を渡されました。旅行を続行することは問題なく、痛みがなくなれば右足に体重をかけて歩いても良いとのことでした。

料金は、診察、レントゲン、サポーター、杖、注射、全部最初に支払った350ユーロで済んだようで、追加の請求はありませんでした。

旅行中、お世話になった杖はこんな感じです。

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普段鍛えていないツケがこんなところで回ってきたのか、この杖と足1本で歩くのは結構苦労しました。お手本を見せてくれたお医者さんは、すいすい簡単そうに歩いていましたが、わたしはかたつむりのよう。5メートルおきに休憩、ホテルの部屋からロビーに行くまでに汗だくでした(とほほ)…

注射は24時間おきに絶対に忘れないよう念を押されたことと、自分で注射するストレスで頭に血がのぼってしまい、何の薬か、言われたのに聞いていなかったのか、訊くのを忘れたのか記憶にありません。後で調べたら、どうも血栓を防ぐ薬だったようです。お腹の肉をちょっとつまんで、ぷちっと皮下注射するだけで、さほど痛くもないのですが…

それから友人Kに連絡をして、せっかく手配してくれた小旅行を全部キャンセル、2日後の合流はミュンヘン中央駅だったのですが、Kがホテルまで迎えに来てくれました。

わたしは、自分の力持ちを過信しているので、いつも大荷物で旅行をするのですが、今回も同様。杖で両手が塞がっているので、スーツケース大小2個をKに運んでもらうことになって、申し訳ないやら、情けないやら。

怪我の話はこの辺で。その後、少し旅行を楽しめるくらいに回復しましたので、続きます。




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Kとは中高校時代を一緒に過ごしましたが、一緒に旅行をするのは今回が初めてです。さらに、高校卒業と同時に、Kは美術の勉強のためにドイツに渡り、その後わたしもカナダが拠点になってしまったので、お互いの帰国のタイミングで会うことができたのは、ほんの数回です。

長い年月を経て、Kが共通の友人を通して連絡をくれたのはうれしいサプライズでした。ドイツ旅行の計画をしていることを話したところ、行きたいところを言ってくれたら連れて行ってあげるとガイド役を引き受けてくれて頼もしい限りでした。

わたしの知るKは、飄々としていて、思春期特有の悩みというには正体不明の混沌はどこ吹く風のような、かといって、わたしのような面倒くさい子を子供扱いするでもなく。また、Kは長身でバレエを習っている人特有の(本人はあまり真面目に取り組んでいなかったそうですが)そこはかとなく優雅な身のこなしで、ちょっと眩しく眺めていたのを覚えています。

ふたりきりで話す機会がほとんどないまま歳月を経ての再会だったのですが、昔以上にいろいろな話をすることができました。さらりとした感じは相変わらず、でも暖かく、笑顔に磨きがかかっていました。年齢を重ねる良さって、こんな風に現れるのだな~とつくづく思いました。

Kはドイツで長いことグラフィックデザイナーをしていましたが、さらにヨガから指圧師の資格を取り、アートセラピーも手掛けているそうです。Kの指圧は、ピンポイントで治療することももちろん行うそうですが、心も含めた体全体に働きかける方法だと話してました。実際に施術してもらいましたが、何とも心地よく、何度か熟睡してしまいました。

そんなこんなで、思いがけない怪我にもかかわらず、楽しい旅を続行です。



それでは、時間を少しもどして、ミュンヘンからフランクフルトの旅の記録です。

少し余裕を持ってミュンヘン中央駅に向かったので、駅でランチすることができました。

わたしは大学の第二外国語だったのに、専門外だったのですっかりお茶を濁したままで、ドイツ語がぜんぜんダメです。メニューはKが全部解説してくれました。

こちらは、Kが注文したニシンのマリネ。

わたしは学生時代、夏休みに2か月かけてヨーロッパを独り旅しましたが、ドイツで異常に気に入ってしまったのがこれです。このマリネのサンドイッチなんかをほぼ毎日食べていたのを覚えています。

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わたしは白身魚のフライにしました。ドイツのポテトサラダが添えてあります。ポテトサラダも独り旅のとき、市場の簡易レストランで茹でたてのソーセージと一緒に食べた懐かしい味です。

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締めのエスプレッソ。ドイツのコーヒーはどこで飲んでも、とてもおいしかった。

ミュンヘンの老舗デリカテッセン、ダルマイヤーのコーヒーにクッキー付き。ダルマイヤーに関してはKに教わるまで、ちっとも知りませんでした。なんという勉強不足。日本でも知られたブランドなのですね。

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車中ではお喋りばかりしていたので、あまり写真も撮らなかったのですが、これはホップ畑だそうです(これもK談)。

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ドイツの列車には食堂車があるので、是非食事をしてみたかったのですが、この時の足の状態で車内を移動する自信がなく、断念。

Kに荷物を全部運んでもらい、無事フランクフルトに到着。一夜明けて、朝食です。

パン屋さんは通常朝6時に開店するそうで、パンはまだほんのり暖かい焼きたてでした。奥のパンは、ひまわりの種をまぶした棒状のプレツッエル。これはかなり気に入りました。

それにしても、ドイツは食料品や日用品が安価なので驚きました。カナダはチーズが高いので、これくらい品数を揃えると30ドルはするだろうなと想像していましたが、その半額以下。トイレットペーパー1ダースだと、セールの時以外は10ドル近くするのに、ドイツでは5ドル以下でした。

写真を撮るのも忘れて食べてしまいましたが、ケーキは甘さが優しく、とてもおいしかったです。カナダでは、アイシングや植物性のクリームを使うことが多いのですが、本物の生クリーム!帰りのルフトハンザの機内食でも、チョコレートのスポンジにベリー類を載せた小さなケーキに本物の生クリームが添えてありました。

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フランクフルト到着2日目。杖をつきながらですが、両足を地面につけて歩けるくらいに回復したので、近所の散策に連れて行ってもらいました。

これは不要になった本を寄付するための本箱。背表紙が見えるので選び易いし、本も傷まないすてきなアイデアですね。

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こんな街並を眺めるとヨーロッパに来た気分が高まります。

K宅はフランクフルトの中心にあるので、買い物や食事に便利でうらやましい限りです。人出のある時間帯は賑やかですが、家に1歩入るととても静かです。朝は、教会の鐘の音を聞きながら目覚めたり。

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フランクフルトにもありました、回転ずし。

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カナダに比べればかなり暖かではあるものの、まだ肌寒かったのですが、公園では早咲きの花を見ることができました。

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人懐こい鳥がいました。

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3日には、杖をつきつつ普通の速度で歩けるほどに回復したので、Kのご主人に車で送ってもらい、シュテーデル美術館を見学に行きました。

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特別展はルーベンス。

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常設展では古典から現代までの展示がありましたが、今回は古典とルーベンス展のみを見ることにしました。

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大好きなブリューゲルの作品もありましたが、一目見たときはブリューゲルとは気づかず。

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寄って見ると、確かにブリューゲルらしさが。

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午前中はどんよりと曇っていましたが、美術館を出るころには青空でした。

マイン川沿いを散策。フランクフルト・アム・マインを対岸から。

フランクフルトは国際金融の中心地。古い建物に混じって、高層ビルが立ち並ぶ地域もありました。

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こちらは古い街並。第二次大戦の爆撃で破壊された建物を復元しているものもあるそうです。右側の塔が神聖ローマ皇帝の選挙・戴冠が行われていたドームです。

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プラタナス並木が印象的でした。

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恋人が自分たちの名前を錠前に彫って橋に付けて鍵を河に投げ捨てるということは、ヨーロッパではよくすることだそうですが、わたしはちっとも知りませんでした。カナダに帰って家人に話すと、何故かあたりまえのことのように知っていました。カナダでは見かけないのですが。

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先ほどのドームまでのんびり歩いて辿り着きました。

これは第二次大戦の爆撃後の写真。歴史的建造物であるドームを避けて爆撃が行われたそうです。一部破損したところもあったようですが、原型は残ったそうです。

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ドームの中に入る前に、Kからこの不思議な写真を覚えておくよう念を押されました。

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それが何かというと、爆撃前に石に精緻に彫られたこちらを守るために正面をコンクリートで固めたものでした。

教会内で移動できるものは疎開したそうで、古いものもかなり残っていました。

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帰りは地下鉄で戻りました。捻挫さえしなかったら、歩いて帰りたかったのですが…

地下鉄の車内にくずかごがありました。きれいずきですね。

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そして、最後の夜はご主人も交えて、Kが用意してくれたお鍋を囲みました。フランクフルトでお鍋、肌寒い日だったので格別でした。

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帰りは足早に大勢の人が行きかうところを歩く自信がなかったので、ルフトハンザにアシストをお願いしました。

カートで移動してくれて、セキュリティも他の人たちとは別で、並んで待つこともなく、出国手続きもカートに乗ったまま、パスポートの写真と本人の確認をするだけでした。

バンクーバー到着後もエアカナダとコードシェアなので、既にエアカナダでカートの手配がされていました。チェックインした荷物を受け取ったら自力で大丈夫だと思っていましたが、ウィリアムズレイク往きの飛行機CMAのカウンターまで有無を言わせず送ってくれて、さらにCMAがゲートまでカートを出してくれたので、すべてがスムーズに行きました。

Lindtのチョコレートを家人のおみやげにしました。Lindtのチョコレートはカナダのスーパーでも手に入るのですが、これは小さな一口サイズでカナダでは見かけたことがありません。写真ではサイズが解りませんが、普通のチョコレートの1/3くらいの、かわいいサイズです。

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最近家人がバイクを買いがっているという話をしたら、KがBitter&Zartというすてきなチョコレート屋さんのチョコレートを持たせてくれました。バイクに乗ったうさぎさんたちのチョコレートです。

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帰って来てから家人に「少し強く誘ってくれたら一緒に行ったのに」と言われて???だったのですが、彼が少々歴史オタク系だったのをすっかり忘れていました。今回の旅行でわたしのヨーロッパ熱が再燃したので、次回に期待してもらいます。
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